注目を集める地方分散型データセンターを「ワット・ビット連携」で支えるACCESSのテクノロジー
生成AIの急速な普及などを背景に、私たちの社会が処理するデータ量は爆発的に増加し続けています。それに伴い、データを支えるデータセンターの需要も拡大の一途をたどっていますが、その裏側で電力の安定供給や環境負荷といった深刻な課題が浮上していることをご存知でしょうか。この難問を解決する鍵として今、大きな注目を集めているのが、総務省も推進する次世代通信基盤「IOWN」を活用した「地方分散型データセンター」という新たな形です。本記事では、この未来のインフラを支える核心コンセプト「ワット・ビット連携」と、それを実現する私たちACCESSのテクノロジーについて、分かりやすく解説します。
なぜ今、データセンターのあり方が問われるのか?
従来の都市型データセンターの課題
まず、現在の課題を整理してみましょう。従来の都市型データセンターは、利便性の高さの半面、主に3つの課題を抱えています。
コスト問題
都市部では地価や電力料金が高騰しやすく、建設や運用にかかるコストが大きな負担となっています。結果としてデータセンター需要が増える一方で、新設のハードルは年々高まっているのが実情です。
環境負荷問題
大量の電力を消費するデータセンターが都市に集中することで、送配電網への負荷が増大し、ピーク時の電力逼迫や廃熱問題が深刻化するリスクがあります。また、国全体で再生可能エネルギーの比率が上がることで、天候に左右されやすい電力を都市部で安定的に確保することがますます難しくなっています。
災害リスクの集中
日本は災害大国ですが、都市圏にデータセンターが偏在することで、地震や水害といった災害発生時のシステム停止リスクが高まります。今後、AIや高度ITインフラが社会基盤の中核を担う中で、単一地域への依存は事業継続の観点からも大きなリスクとなります。
解決策は「地方」にあり。地方分散型データセンターの可能性
こうした都市型モデルの課題を乗り越えるための切り札として期待されているのが、地方にデータセンターを分散配置するアプローチです。これにより、以下のような多くの利点が期待されます。
低コスト運用
土地・電力コストが比較的安価で、大規模敷地の確保や長期的な拡張が容易です。
再生エネルギーの活用
風力・水力・太陽光など地域の豊かな資源を活かし、グリーン電力を直接活用する電力の地産地消が可能です。
災害分散
地理的に分散することで、一極集中リスクを軽減し、システム全体の冗長性を確保します。
このように、地方分散型データセンターは都市型の課題を補完し、日本全体のデジタル基盤を強靭化する重要な役割を担います。
離れた場所を一つに繋ぐ。「ワット・ビット連携」による地方分散型モデルの実現
しかし、データセンターを単純に地方へ分散させるだけでは、新たな問題が生まれます。それは拠点間の通信遅延です。この物理的な距離の壁を乗り越え、分散型モデルを現実のものにするのが、「ワット・ビット連携」という考え方です。
これは、電力の生産地である「ワット(発電所)」の近くに、電力の消費地である「ビット(データセンター)」を分散配置するという、非常に合理的なコンセプトです。そして、複数の拠点に分散するという最大の課題である通信遅延を解決するのが、次世代の高速通信網「IOWN(アイオン)」です。
IOWNは、光技術により超高速・大容量・低遅延・低消費電力な通信を実現し、物理的に離れたデータセンターをあたかも一つの巨大なデータセンターのように運用することを可能にします。これにより、利用者はデータセンターの物理的な場所を意識することなく、高速で安定したサービスを享受できるのです。
IOWN(アイオン)とは、最先端の光技術を使って、豊かな社会を創るための構想です。次々と現れるテクノロジーを「意識しなくてもいい世界」がまもなくやってきます!医療から金融、教育、交通、エネルギーまで、日常生活に恩恵をもたらします。
構想を現実に。ACCESSが提供するソリューション
この壮大な「ワット・ビット連携」構想を実現するため、私たちACCESSは、「通信」と「エネルギー」の両面から専門知識と技術力を活かし、事業化を支援しています。
エネルギー制御技術「POWERGs®」
エネルギー供給の側面では、点在する再生可能エネルギー電源を統合制御するIoT基盤「POWERGs®(パワージーズ)」を提供しています。この基盤によって、電力の需給バランスに応じてデータセンターの計算リソースを調整するVPP(バーチャルパワープラント)などの高度な電力制御が可能になります。
IOWN対応ネットワークOS「Beluganos®」
データ通信の側面では、分散したデータセンター群を一体的に運用するための超高速・低遅延のネットワークが不可欠です。ACCESSは、長年のネットワーク向けOS開発の知見と経験からIOWNに対応したネットワークOS「Beluganos®(ベルガノス)」を開発・提供しており、これにより大規模なクラスターコンピューティング環境の構築が可能となります。
構想を現実に変える豊富な実績と応用力
「ワット・ビット連携」は、分散リソースを協調制御する高度な技術が求められますが、決して単なる理想論ではありません。ACCESSは、まさにその基盤技術を数多くのプロジェクトで実証してきました。
大規模エネルギー制御
数千世帯規模の家庭向けVPP(バーチャルパワープラント)実証や、法人向けのエネルギー制御など、多様なリソースを最適化した実績があります。
高付加価値サービス開発
AIによる省エネアドバイスや次世代スマートメーター連携といった、データを活用した付加価値の高い新サービスの開発を推進しています。
業界標準への貢献
ECHONET Liteなど業界標準への対応はもとより、国際会議でEV充放電器の遠隔制御デモを成功させるなど、技術的リーダーシップを発揮しています。
未来の社会インフラを、共に創る。ACCESSとの協業による新たな価値創造
データセンターのあり方が社会インフラ全体を左右する、大きな転換期が訪れています。ACCESSは、来たる「ワット・ビット連携」の時代に向け、新たな価値創造に挑戦されるお客様を、技術とソリューションで強力に支援します。この次世代インフラの実現に向けた第一歩を、ぜひ私たちと一緒に踏み出しませんか?構想段階から事業化、そして社会実装まで、ACCESSがワンストップで伴走します。まずはお気軽にご相談ください。