ユースケース

お客様の課題を起点に、最適な技術で解決策を開発する。それがACCESSのDX/IoT プロフェッショナルサービスです。
お客様と成功を収めた導入事例や、ACCESSの技術力が可能性を拓くソリューションのユースケースを掲載しています。

大手出版社3サイトのシステム統合で未来の成長基盤を構築。大規模リニューアルを「伴走型支援」で成功に導く

大手出版社様の3サイトシステム統合と長年積み重なった技術的問題点を、「伴走型支援」による大規模リニューアルで解決した事例です。

ミッションクリティカルな大規模メディア統合

大手出版社様が運営する、月間数千万PVを誇る3つの巨大メディアサイト。その輝かしい実績の裏側で、積み重なってきた技術的課題の解消と、将来の事業成長を見据えたシステム統合プロジェクトにACCESSが選定されました。お客様からは過去、1つのサイトリニューアルを試みたものの計画通りに進まなかった経緯があることを伺っており、まさに後退の許されない状況でした。

本稿では、この高難易度のミッションクリティカルなプロジェクトをACCESSがいかにして成功に導いたか、その技術的挑戦とプロジェクト推進の裏側をご紹介します。

成長を阻む「3つの技術的問題点」

では、具体的にどのような問題が事業成長の足かせとなっていたのでしょうか。本プロジェクトが発足した背景には、大きく分けて3つの技術的な問題点がありました。

システムのサイロ化

3つのサイトがそれぞれ異なるシステム・インフラで稼働し、コスト増大と開発生産性の低下を招いている。

フレームワークのEOL

システムの根幹がサポート切れ(= End Of Life)のフレームワークで構成されており、セキュリティリスクが高まっている。

非効率な運用体制

記事入稿フローが統一されておらず、日々の運用に負担がかかっている。

このように、個別のシステム、老朽化した技術、そして非効率な運用体制という問題点が、事業成長のボトルネックとなっていたのです。

技術的な挑戦。10万PV/時に耐える「高速表示」と「コスト最適化」の両立

このボトルネックを解消するための大規模リニューアルにおいて、技術的な挑戦のポイントは多岐にわたりました。

まず求められたのは、ピーク時で合計10万PV/時を超えるアクセスに耐えうる安定性だけでなく、ユーザー体験を損なわない圧倒的な表示速度を両立させることでした。

そして、この高い性能要件に応えるための技術的な核となったのが、SSG(Static Site Generator)技術とヘッドレスCMSの採用です。セキュリティと将来の拡張性を両立させるため、WordPressをヘッドレスCMSとして利用するアーキテクチャを選定。これに加え、サイトの表示速度を劇的に向上させるSSG技術を採用しました。

特に本プロジェクトでは、お客様が管理するAWS上にSSG環境を構築することが要件でした。SSGを実現する代表的なフレームワークであるNext.jsは、その開発元が提供するクラウドサービス(Vercel)で最もポテンシャルを発揮します。しかしながら、今回はあえてその標準的な環境に頼らず、お客様のインフラ上で同等の性能と安定性を実現するという、より高度な技術的挑戦が求められました。

このアーキテクチャによって、事前にページの大部分を生成しておくことで、アクセス集中時もサーバーに負荷をかけず、素早く安定した表示が可能になります。その結果、管理画面と公開画面が分離され堅牢性が高まっただけでなく、サーバー費用を最適化しつつ、サイト更新の短時間での反映も実現しました。

さらに、新しい共通CMS、3サイトのフロントエンド、広告サーバーなど、多数の既存・新規システムを安定的に連携させるという、複雑なシステム連携も乗り越える必要がありました。

SSG

Web開発の分野で使われる「Static Site Generator(静的サイト生成)」の略語で、事前にデータやテンプレートからWebサイトのすべてのページを静的なHTMLファイルとして生成するツールのことです。ユーザーがWebサイトにアクセスした際、サーバーはすでに生成されたHTMLファイルをそのまま返すため、表示速度が速く、セキュリティが高く、サーバー負荷が低いというメリットがあります。

ヘッドレスCMS

「コンテンツの管理機能」と「コンテンツを表示する機能」を意図的に分離したコンテンツ管理システムのことです。「ヘッドレス(Headless)」とは、Webサイトの見た目や表示部分を指す「ヘッド」が無い、という意味合いからきています。WordPressなど従来のCMSは、コンテンツの作成・管理(バックエンド)と、コンテンツの表示(フロントエンド)が一体になっています。それに対し、ヘッドレスCMSは役割を分担して機能させます。

プロジェクトマネジメントの挑戦。信頼関係で成功に導く「伴走型」推進力

今回の高難易度プロジェクトの成功には、こうした高い技術力と、プロジェクトを確実に成功させるための進め方、この両輪が不可欠でした。ACCESSが真価を発揮したのは、まさにこの点にあります。

お客様からの「一体のチームとしてプロジェクトを進めたい」というご要望を受け、ACCESSは単なる開発会社としてではなく、事業パートナーとして伴走することを徹底しました。とりわけ、別のベンダーとの過去のプロジェクトが頓挫したことによるお客様の不安を払拭するため、密にコミュニケーションをとりながら進行。全ての情報をオープンに共有することで、お客様とACCESSが一体となった「ワンチーム」としての信頼関係を築きながらプロジェクトを推進しました。

また、品質に対するこだわりも成功の大きな要因です。プロジェクト開始時に「品質>納期>コスト」という優先順位に双方で合意し、独立した品質管理チームが要件定義の段階から関与することで、手戻りのない開発プロセスを徹底しました。

コスト削減と、未来のデータ活用基盤の実現

こうした技術・マネジメント両面からのアプローチの結果、プロジェクトは当初の目的達成に留まらず、未来の事業成長に繋がる大きな価値を生み出しました。

第一に、直接的な効果としてコスト削減生産性向上が挙げられます。SSG技術の採用によるサーバー費用の最適化、CMS統一による運用工数の削減がそれにあたります。

そして第二に、より大きな意義として、将来の事業展開に向けた「礎」を構築できた点があります。今回のリニューアルは、老朽化したシステムを刷新してセキュリティリスクを解消しただけでなく、将来の事業展開を見据えた拡張性の高い基盤を構築した点にこそ大きな意義があります。これにより、これまで実現が難しかったグループ共通IDとの連携や、メディアを統合した会員データベースを新設することが可能になりました。

これは分断されていたユーザー情報を統合・可視化し、新たな収益モデルを創出するための、未来への道筋が作られたことを意味します。

お客様からの声

システムの老朽化といった長年の懸案を、最高の形で解決できました。非常に大規模かつ複雑なプロジェクトでしたが、ACCESSは単なる開発会社ではなく、事業の悩みに寄り添ってくれるパートナーでした。技術的な問題解決はもちろん、複雑な関係者を調整しながらプロジェクトを推進する「伴走力」に助けられました。コストの最適化に加え、将来のデータ活用に向けた基盤ができたことにも感謝しています。

「技術的課題」を未来への「事業資産」に変える

今回の事例が示すように、多くのWebメディア様や出版社様が、システムの老朽化、運用コストの増大といった共通の悩みを抱えています。私たちACCESSの「DX/IoT プロフェッショナルサービス」は、そうした困難を解決するための最適なソリューションです。

私たちはお客様のビジネス上の目標に深く寄り添い、プロジェクトの不確実性を最小化する計画力、最適な技術を組み合わせて形にする技術力、そして何よりもお客様の事業パートナーとして成功まで共に走り抜く伴走力、そのすべてをお客様に提供します。

貴社メディアが抱える問題の解決も、ぜひ私たちにご相談ください。豊富な経験を持つ専門家が、貴社だけの最適な答えを共に見つけ出します。未来のメディアに向けた挑戦を、私たちと共に始めませんか。