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ユースケース

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ASEANのMZ世代向け新ブランド『AIR CREATOR』が実現する、「空気と空間のパーソナライゼーション」

ダイキンが東南アジアのMZ世代へ放つ新ブランド、その戦略背景やACCESSとの連携によるデジタル開発の真髄を開発責任者にインタビュー。

急速なデジタル化と価値観の多様化が進む、ASEAN(東南アジア)市場。

Daikin Industries (Thailand) Ltd.(以下DIT)はMZ世代のライフスタイルに特化した新ブランド「AIR CREATOR」を2026年2月上旬にタイおよびベトナムでリリースし、その後もフィリピンおよびマレーシアへと対象国を拡大しています。「空気と空間のパーソナライゼーション」を掲げ、スマートフォン操作に特化したこの革新的な製品は、ブランドイメージの再構築を狙う同社の重要な戦略的一手となります。

本インタビューでは、DITのアセアン・オセアニア商品戦略/R&D責任者の北川様に、新ブランド誕生の背景にある市場の読み解きや、開発過程で突き当たった壁、そしてパートナー企業であるACCESSとの連携によって実現したデジタル戦略の真髄についてお聞きしました。

  • ゲストの写真
    ゲスト
    北川 武
    Daikin Industries (Thailand) Ltd.
    アセアン・オセアニア商品戦略/R&D責任者
    1987年ダイキン工業入社。三現主義を信条に、住宅用空調の設計者としてキャリアをスタート。数々の主力商品開発を牽引し、欧州R&Dセンター長や品質管理、環境規制対応の要職を経て2023年より現職。現在はアセアン地域における自前開発体制の強化と、市場特化型の差別化戦略を指揮している。
  • インタビュアー
    鈴木 英司
    株式会社ACCESS
    常務執行役員 営業本部長
    2004年ACCESS入社。「日本のテクノロジーを世界へ」の強い志のもとIoT事業を牽引。自社が持つソリューションの真価は成長著しいASEAN市場にこそあると考え、空調機で世界最大手のダイキン工業への提案をきっかけに、日本の技術力とアジアの熱量を融合させるべく同市場への本格的な進出を狙う。
    インタビュアーの写真

新ブランドのコンセプトと開発背景

AIR CREATORのキービジュアル
ダイキンのエアコン・ 空気清浄機能付きアロマディフューザー・ 空気清浄機の新ブランド。
一人ひとりに合わせた空気体験の設計と最適化に焦点を当てている。

このたびリリースされました「AIR CREATOR」のコンセプトについてお聞かせください。

DIT 北川:AIR CREATORは、空気と空間を一人ひとりに合わせて最適化し、理想の環境を創り出すことをコンセプトとする「パーソナライゼーション」を中核とした新発想のブランドです。ダイキンのコーポレートメッセージである『Perfecting the Air』を、より身近に実感できる価値として届けることを目的に誕生しました。本ブランドはタイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンの生活者に向け、個々の暮らしに寄り添う、新たな空気体験を提供する製品です。

開発のきっかけは?

DIT 北川:きっかけは私たちが「ASEAN市場でダイキンのブランドイメージが薄れてきている」という強い危機感を抱いていたことです。今後5年から10年にかけて、購買層は変化していくことが見込まれます。現在のMZ世代の若者が中心的な購買層となるため、その世代に焦点を当て、差別化できる商品を創造することが重要であると考えました。

MZ世代とは

1980年代前半〜1990年代半ばに生まれた「ミレニアル世代(M世代)」と、1990年代半ば〜2010年代前半に生まれた「Z世代」を合わせた、主に20代〜30代のデジタルネイティブ世代。

ASEAN(東南アジア)市場特有のニーズについてはどうお考えですか?

DIT 北川:気候、住環境、家族のかたち、そして現代の生活者の価値観が急速に多様化する中で、暮らしに求める快適さは画一的なものから、個々の暮らしに合わせたものへと変化しています。AIR CREATORは、こうした東南アジアのMZ世代の多様性に応えるために誕生した、空気・空間を創造するという、まったく新しいユーザーのニーズを実現すると考えています。

今あるエアコンとの差別化。次世代に向けた戦略

新ブランドとそのアプリの特徴は?

DIT 北川:最大の特徴は物理リモコンを廃止し、スマートフォン操作に特化した世界初のリモコンレス・ルームエアコンという点です。スマホを手放さない東南アジアのMZ世代の「スマホファースト」なライフスタイルに適合させています。「DAIKIN AIR SELECT」は、エアコンおよび空気清浄機をより直感的かつ快適に操作するためのスマートフォンアプリです。複数の機器を一元管理し、連動制御することで、誰でも簡単に最適な室内環境を創出できます。

インタビューに応えるDIT 北川氏

他社との差別化ポイントはどこにありますか?

DIT 北川:差別化としては、五感で感じる空気の価値にこだわっていること、カスタマイズができること、そして迷わず使える操作性にあります。ユーザー自身が選択できるカスタマイズ可能なUIをはじめ、室温や空気の状態も一目で把握可能です。複数台の機器をまとめて管理・連動制御が可能なため、リラックス中や睡眠など、生活シーン別の制御を実現できます。

また、電力使用量のモニタリング機能を搭載し、あらかじめ設定した使用料金の目安に応じて消費電力を自動的に抑制します。これにより「エアコンは電気代がかかる」という不安を軽減し、無理なく節電を続けられる環境を提供します。

各国が競うように市場攻勢をかけるASEAN市場で、どのように競争優位性を確立しようとしているのか。そのデジタル戦略についてお聞かせください。

DIT 北川:「リモコンレス」ということはインターネット接続が必須な商品でもあるため、お客様のご利用状況に関するデータを取得・解析することが可能となります。このデータを活用することで、顧客のニーズに基づいた仕様の向上を図り、オンリーワンの機能を更新できるようにすることで、カスタマイズに価値を見出していただけると考えております。

AIR CREATOR ブランドムービー – YouTube

なぜACCESSだったのか?パートナー選定の決め手

数ある開発会社の中からACCESSをお選びいただいた理由は?

DIT 北川:前提として、家庭用ルームエアコンと空気清浄機向けのアプリは、アセアン・オセアニア地域でオリジナルのアプリとして開発を行う計画でした。我々はアプリ開発のためのパートナーを探していましたが、パートナーの選定には重視していた2つの要素がありました。

インタビューに応えるDIT 北川氏

重視した「2つの要素」とは?

DIT 北川:1つ目が、タイ語によるコミュニケーションが取れることです。DITのR&D開発チームは9割以上がタイ人で構成されており、タイ語でコミュニケーションを取ることが必須の条件でした。

2つ目は、アセアンのR&Dはタイとマレーシアに開発拠点を構えているため、拠点を跨いでアプリのカスタマイズ開発が行える共通化が不可欠なことです。具体的には、アプリを標準化するために、各開発拠点が市場ニーズに合わせた機能追加を自由に行える仕組みを実装してもらうことが前提でした。

パートナーの選定にはタイ国内やベトナムを含めたASEAN圏のベンダーにも接触しましたが、先ほど述べた条件が合わず、なかなかパートナーを決定できませんでした。そうした焦りの中で日本国内の担当者に相談したところ、過去に業務委託実績のあるACCESSを紹介してもらったのです。

ACCESSは「2つの要素」を満たしていましたか?

DIT 北川:ACCESSは、1つ目の条件をタイ現地のベンダーと提携することで解消し、2つ目の条件については過去に類似の開発経験もお持ちで、具体的な対応策についてご提案をいただけたことも心強く感じました。また、やり取りの中で今回のプロジェクトに関する事業理解も早く、他のアプリ開発実績も豊富だったため、パートナーとして決定し開発をスタートしました。

ACCESSの真価が発揮された瞬間

「妥協なきこだわり」に伴走する、ACCESSの柔軟な対応力

開発上で妥協しなかった点はどのような部分でしょうか。

DIT 北川:MZ世代が対象ということもあり、新しいブランドイメージを創造する目的で、GUIデザインとAIR CARD機能には特にこだわりがありました。デザインについては社内の意見が二分されたため、非常に困難な判断が求められましたが、複数回にわたる選考を経て決定に至りました。特にAIR CARD機能については、ユーザーに最大限「五感」で感じてもらえるような体感の制御を追求しており、仕様の見直しを何度も行いました。

AIR CARDのアプリ画面
AIR CARD機能により、機器同士が独自のロジックに基づいて連携して動作。
ユーザーがその時の状況に合わせてAIR CARDを選択するだけで最適な環境を作り出します。

こだわりを実現される過程で、ACCESSの対応はいかがでしたでしょうか。

DIT 北川:ダイキンからの仕様変更の依頼はかなりの数になったと思いますが、その都度、依頼内容がアバウトであったにも関わらず、細かな擦り合わせなど柔軟に対応していただけたので、手戻りを最小限に抑えることができました。上市に間に合わせるべく対応していただけた点につきまして、本当に感謝申し上げます。

また、ACCESSから「このようなやり方もできます」と自発的にご提案いただけた点や、納期に向けてやり切っていただける対応力について、非常に心強かったと感じています。

文化・感性の壁を乗り越えた柔軟性

日本とASEAN市場の商習慣や感性の違いなど、開発中に直面した課題をどのように克服されましたか?

DIT 北川:今回の開発はタイで行うということで、認識合わせの方法や遠隔でのやり取りという点など、日本人とタイ人によるコミュニケーションの問題に不安がありました。しかしACCESSはその都度、問題をキャッチアップし、即座に対応してくれました。こちらからの指示を待つのではなく、「どうしたらこのプロジェクトを上手く、スピーディに進めることができるか」を自発的に提案いただきました。

ACCESSからの対応や提案とは?

DIT 北川:例えば、仕様の擦り合わせにはFigmaなどを活用して視覚的にわかりやすいやり方で意思疎通を図り、開発の中盤以降は毎日ミーティングを実施して、双方の理解ができるまで議論してもらいました。開発の終盤には担当者がDITにまで出張していただき、現地で直接コミュニケーションを取ることで開発を加速させ、無事リリース完了を迎えることができました。ACCESSをパートナーとして選定させていただいたことは、本当に良かったと思っております。

Figmaとは

ブラウザ上で動作する、チーム共同編集に特化したデザインプラットフォーム。特別なソフトのインストールは不要で、URL一つでチーム全員がリアルタイムに最新のデザインを共有・編集できるのが最大の特徴。

DAIKIN AIR SELECTへのこだわりについて熱心に語るDIT 北川氏

新たな「空気の価値」を提供する、挑戦的な未来

今後、インドネシアやフィリピンなどに展開を広げる中で、アプリをどのように進化させていきたいですか?

DIT 北川:まずは市場に対し、今回の我々のチャレンジの是非を問いたいと思います。新しいブランドコンセプトが受け入れられるのか、アフターマーケティングを重点的に行います。スマートフォンを起点とした空調操作スタイルを市場に定着させることが当面の目標になります。

このスタイルが定着すれば、将来的にはルームエアコンに留まらず、店舗用エアコンなど他の機器にも展開し、タイを足掛かりとして他のアセアンやオセアニア市場の標準アプリとして進化していきたいと考えています。ACCESSには引き続き開発をサポートいただけることを期待しております。

北川様の熱意に直接触れ、改めて身の引き締まる思いです。ASEAN市場でのさらなる飛躍に向け、ACCESSも一丸となって伴走させていただきます。本日は貴重なお話をありがとうございました。

DIT 北川:ありがとうございました。

DITとACCESSのプロジェクト関係者の写真
DIT 北川様とSmith様(ロゴ右側のご両名)と、ACCESSプロジェクト関係者 – DIT バンコクオフィスにて

今回のインタビューを通じて、北川様が「AIR CREATOR」に込めた並々ならぬ情熱と、MZ世代のライフスタイルを徹底的に見つめる真摯な姿勢に、ACCESSも大きな刺激を受けました。ASEAN市場の文化や言語の壁を越え、タイの現場で共に悩み作り上げたこのプロジェクトは、単なるアプリ開発を超えた「新たな価値の共創」であったと確信しています。

新ブランドが掲げる「空気と空間のパーソナライゼーション」という挑戦的な未来を、これからも実空間ビジネスの高度化を伴走支援するスペシャリスト集団として、共にASEAN、そして世界の空気を変えていくパートナーであり続けたいと考えております。